ガンと暮らす四人家族
〜私と娘の闘病記〜
甲状腺がん

娘が小児がん(甲状腺がん)と診断されるまで【生検】

ガンと暮らす四人家族

子供の甲状腺癌がわかるまでは本当に平和な毎日だった

小児がん 年長

 

2014年冬

私達の第一子、結実が産まれた。

 

3150g、47cm、健康そのものだった。

 

2019年、

私は第二子を妊娠して、結実はもうすぐお姉ちゃん。

大きな病気もなく、あと数ヶ月で6歳になる年長さんの秋…

 

子供の首にしこり(リンパ節の腫れ)が偶然見つかった

 

夫の実家から帰る車の中で眠ってしまった結実を、後部座席で腕枕のようにしていた夫が言った。

「なんか結実ちゃんの首、しこりみたいなのがあるよ?」

 

帰って結実の首を触ってみると、左側に1cm程のしこりがあった。
少し首を傾けないと探せないというか、よくある耳の下のリンパ節とかではなく、

見つかったのは本当に偶然だったんだろうと思う。

首のしこりは柔らかく痛みはないらしい。

すぐにスマホで調べてみた。

元々少し風邪気味で咳がでていたのと、

数日前にブランコで顔から落ちた時にアゴを怪我していたので、

それが原因かな?とは思ったものの、

気になるので近い内にかかりつけの小児科に行くことにした。

 

[子供の首のしこりの原因は?]まずかかりつけの小児科へ

 

 

インターネットで検索した時、

「首のしこりでびっくりして、病院に来られる保護者の方は非常に多いが、ほとんどが問題ない。」

と書いてあったので、
大袈裟かなぁ…と思いながら受診。

先生はしこりを触りながら

「あ~これかぁ。まあリンパ節が腫れるのはよくあることですよ。リンパ節だから大丈夫。」

と落ち着いた様子だった。

「風邪気味で少し咳があるのと、

数日前にブランコから落ちてしまって…

それも関係ありますかね?」

と聞いたら、

そうですね、細菌感染でしょうね。

顔なんか怪我するとリンパが腫れることもあります。二週間ほど様子をみましょうか。
それでもまだなくなっていなければ、また来て下さい。

それと、あまり触らないで下さいね。それが刺激になって、余計なくならない事もあるので…。」

 

うん、やっぱり顔の怪我のせいだろうな。。
少し安心して家に帰った。

気になる気持ちを抑え、極力触らないようにする。

しばらくすると少し小さくなったように感じた。

顔の傷も治ったし、もう心配なさそうだな。

咳は小さい時から風邪をひくと残りやすく、この時期は私も咳をしていたので、

治ってもまた新しく風邪をひいているのかもしれないな…と思っていた。

 

そうしている内に、第二子である次女が産まれた。

結実は何日も私と離れた事なんてなかったから少し淋しそうだったけど、夫と一緒に面会に来て、嬉しそうに妹を抱っこした。

 

一人っ子でいいかな?
そんな風に考えていたから、結実に妹ができて本当に嬉しかった。

これから4人で幸せになろうね。

愛しい宝物が2人も…

 

私は世界で一番幸せなんじゃないか、なんて思っていた。

 

[血液検査と腫瘍マーカー]大きくなった首のしこり

小児がん 園児

次女と退院して3日後。

約1ヶ月振りに、私はまた結実を連れて小児科に来た。

「先生、

一度は小さくなったように思ったんですが、最近前より大きくなってる気がするんです。

悪性リンパ腫とか、そんな可能性はないですか?」

最初は、

「リンパはなくなる物じゃないからね~」

なんて言ってた先生も、

触診すると、

あ、少し大きくなってるね。血液検査で大体わかるから検査しようか。

と言ってくれた。

大きくなっていると言っても、2cmもないぐらいだったと思う。

今考えても、良い先生だった。
大袈裟だな~と適当な対応をせず、この時すぐに検査してくれた事が早期発見に繋がったから。

 

受診した日が金曜で、週明けには結果が出た。

 

可溶性インターロイキン-2レセプター(sIL-2R)

・異常高値:成人T細胞白血病、悪性リンパ腫、毛様細胞性白血病、ホジキン病、多発性骨髄腫、急性および慢性白血病、慢性骨髄性白血病の急性期、膠原病、自己免疫性疾患、川崎病など

(引用元) FALCO臨床検査案内サイト

 

結実はこの数値が異常とまでは言えないにしても、基準値より高い743だった。

(基準値は135-483)

「他の数値もそんなに問題がありそうなわけではないけど、一応診てもらったほうがいいかも…」

と、先生はすぐに大きい病院へ紹介状を書いてくれた。

 

[採血とCT撮影]消えない首のしこりで紹介先の病院へ

小児がん 採血

数日後、総合病院の小児科へ行った。
紹介してくれた先生は、小児科の血液のガン専門の先生だった。

触診後、
よく動くし、柔らかいからね、問題ないと思うよ。

悪性腫瘍だと硬くてもっと動かないよ。
血液検査は先週したばっかりで、そんなに変わらないと思うから、1ヶ月後にまた来て下さい。」

良かった。。
専門の先生が大丈夫と言ってくれたので、少し安心できた。

それから1ヶ月、あまり刺激しないように結実の首をそっと触る日々。

大丈夫だろう…いやでも何かあったら…
しこりは目に見えて大きくなることもなければ、小さくなってくれることもなかった。

もうすぐクリスマス。

前回の診察から1ヶ月経って病院へ…。
先生は、悪性リンパ腫等の腫瘍マーカーである可溶性インターロイキン 2 レセプターの数値も642で少し下がったこと、他の数値も問題ないこと、しこりも大きくなっていないことから問題ないと言った。

でもしこりの大きさは、皮膚の上から定規を当てて測っていたので、もっと正確に知りたいと思いCTをお願いした。

 

造影剤を使ってのCTで、注射で造影剤を入れなければいけない。
もちろん注射の好きな5歳児は中々いない。
それでも素直な子なので、頑張って耐えていた。

CTの結果、

「特に問題はなさそうです。後で放射線科の先生にも診てもらうけど、多分大丈夫でしょう。
次は2ヶ月後ぐらいに予約とりましょうか。」

そう言われ心底ホッとした。

まだ生後1ヶ月の次女がいるため付き添ってくれた義両親とも、本当に良かった、と喜び合った。

 

やっぱり大袈裟だったか…
結実には可哀想なことをしちゃったかな…
でも、じゃあこのしこりは何だろう…
CTまで撮って何もないんだから大丈夫か…

 

そのまま義実家に行き、
結実は大好きなじーじと遊んでいた。
私と義母は、良かったねえ、良かったねえと、安心感から少しテンション高くお喋りしていた。

……ら、
知らない番号から着信があった。

誰だろう?

電話に出ると病院からだった。

「先程のCT画像を放射線科の先生に診て頂いたのですが、肺に影があるそうで…
それが結核の可能性が否定できないと…
なので明日結核の検査をしたいので病院に来れますか?」

 

結核!?!?

確かに咳はまだあった。
でも夜中に咳き込む程度だし、結核ってもっとひどいんじゃないの!?

せっかく喜んでくれていた義両親もびっくりしていた。

結核の検査は本来痰でできるが、子供はうまく痰が出せない、なので麻酔で眠らせて胃液をとります、ご飯は食べずに来て下さい。

そう言われて、大変なことになったな、と思った。

 

[CT所見・結核の疑い]首のしこりと肺の結節で初めての感染症内科

 

翌日、また義両親と結実、私と次女の大所帯で病院へ…。

小児科に行ったのだが、感染症内科を案内された。
病院の片隅、大きな扉を開けて、まだその奥に感染症内科はあった。

入ると看護師さんも先生も皆、N95といわれるアヒルみたいなマスクをつけている。
自分たちが病原菌にでもなった気分だった。

まず結実は胃液をとる処置をする間だけ効くぐらいの麻酔をかけられた。

「お母さんが居なくなると不安だと思うので、眠るまでそばにいて下さい。」

そう言われてベッドの横に立っていた。

麻酔をかけられる瞬間の人なんて見たことがなかったから、

突然眠るのかな?

と思っていたけど、

実際は、さっきまで色んな人の動きを見ていた結実が、

ボーッと何を見ているのかわからない状態になった。

こんな結実を見るのは初めてで驚いていたら、

「お母さん、もう麻酔は効いているので、大丈夫です、前でお待ちください」

 

と言われてしまった。

本当に何の病気なんだろう…

死んでいく時ってあんな感じなのだろうか…

 

結実もきっと怖いだろうな…

義両親の前だから我慢しようと思っていたのに、不安で涙が溢れた。

しばらくして処置が終わったと呼び戻される。

結実はまだ眠っていた。
これをまだ2回もしなければならないのか。
3回全て陰性になって、やっと結核じゃないと証明されるらしい。

しかしこれ以降、2回目は夫が居たのもあって甘えやすかったのか、結実が泣いて嫌がったので、

残り2回はなんとか痰をとりましょう、と麻酔を免れた。

ツベルクリン反応をみるために注射をしたり、年末までに何度も往復1時間はかかる病院へ通った。

結果は当然結核ではなかった。

あんなに辛い想いをしたのに…

可能性を潰していかなければいけないのは理解できるけど、これだけは文句を言ってやりたい気持ちでいっぱいだった。

 

首のしこりをエコー検査してみると

 

結局、原因はわからないまま、

年始に首のリンパ節を生検しましょう

ということでお正月を迎えた。

お正月は義実家に夫の妹家族が泊まりに来たり、毎年賑やかだ。

しかし今年は顔では笑っていても、

頭は結実の病気のことでいっぱいだった。

義両親と相談し、義妹にはまだハッキリしないから何も言わないでおこう、となっていた。

せっかくの楽しい時間…わざわざ心配かけたくもないし、暗い雰囲気にはなりたくない。

 

そして家に帰ると不安でたまらなくなり、

得るものはないとわかりながらも検索魔になっていた。

 

年始、また病院へ向かう。

小児外科の先生が、今回はエコーを使って首を診てくれた。

どうやら最初に気づいた所だけじゃなく、鎖骨下のリンパなんかにも怪しい箇所があるらしい。

腫れたリンパを手術でとり生検にだしたら、肺の影の原因もおそらくわかるだろう、ということだった。

 

結実は少しお調子者で能天気だけど、物わかりの良い子だと思う。

毎回病院へ行く時はしょぼくれていても、それ以外は笑顔が多い。

5、6歳なんて、そんなものかもしれない。

でも病院が嫌だと駄々をこねるわけでもなく、今現在までもずっと妹のお世話をし、よく喋りよく笑う明るい女の子だ。

なんでこんなに良い子が…。

首のしこりを手術でとるからね、

麻酔してるから痛くないよ、

それで病気がわかるからね、

頑張ろうね。

 

年末の経験だけでも、結実にとっては相当辛いものだっただろう。

 

なのにまた、

「頑張ろう」

そう言わなきゃいけないのがとても辛かった。

 

[首のしこりの生検]しこりと肺の影の原因は?

小児がん 生検

生検のための手術、もちろん全身麻酔で行う。

全身麻酔ということは、人工呼吸器を使う。

なんだか恐ろしいな…

手術着に着替え、シャワーキャップみたいな物を被る。

結実には少し小さいベッドに座って、手術室へ運ばれていった。

 

そして一時間程で病室へ帰ってきた。

結実は酸素マスクをつけ眠ったまま、

首にはテープが貼られているため傷はわからない。

 

麻酔から覚めた結実は、痛いのと切ったところが気になるのとで、それから数日間顔を傾けたままだった。

今考えたら可愛かったな。

その時は、ずっとこうだったらどうしようと不安で、

ちゃんと首、真っ直ぐして!

と言ってばかりいたけど。

 

ここから結果が出るまでの10日間は、あまり記憶がない。

 

もしかしたら何も問題ないかもしれないし…

と淡い期待を抱いたりした。

肺に写っているのは風邪の炎症の残りとか、気のせいとかではない、とハッキリ言われてはいたけど…

病気だなんて、とても思えなかった。

 

もう咳もとまっていたし、毎日幼稚園に行って元気いっぱいだったから。

 

そして結果の日…

 

先生が言った。

 

知りたくなかったな…

 

【生検の結果】首のしこりを生検手術したら、甲状腺乳頭がんだった首のしこりを生検に出すことで、わかった原因となる病気は… 2020年元旦、 義妹家族と私たち家族で、地元の神社に初詣に行...