ガンと暮らす四人家族
〜私と娘の闘病記〜
子宮頸がん

子宮頸がん1B1期[手術なし]CCRTの腔内照射(ラルス)体験談とスケジュール

子宮頸がん ラルス 腔内照射

腔内照射(ラルス)について

ラルス 体験談 腔内照射

Remote After loading System(RALS)

一般的な放射線治療が、体の外から放射線を当てるのに対して、ラルスは体内に線源(放射線を出す物質)を入れて、腫瘍に直接放射線を当てることができる。

外照射治療の後半、弱った腫瘍に対する最後の一撃だと聞いた。

今回の子宮頸がんの治療で一番回数が少なかったのに、一番つらかったラルスの体験談…

治療前に腔内照射(ラルス)をする病院へ診察・治療説明を受ける(麻酔やスケジュール)


私が外照射をした病院はラルスの機械がないので(東京は多いようだが、他は各都道府県に数ヶ所程度だと思う)、治療前にラルスをする病院に行き診察をした。
(腫瘍の確認や子宮に機械が通せるか等)

紹介状を渡し、実際に確認するために内診台に乗る。

カーテンの向こうには3人の男性医師がいた。

膣と肛門から指で腫瘍を確認。

その後「写真を撮ります」と言われて、エコーかな?と思っていたら、カーテンの向こうでフラッシュが光ったのがわかった…

カーテンで見えていないのでよくわからないが、何かで膣を開いて腫瘍を見えやすくし、デジカメか何かで撮影したんだと思う。

中々衝撃的だった。

子宮に治療のための機械が通るかのチェックもあったが、ツーンと痛いぐらいで、すごく痛かった記憶はない。
経産婦はそこまで痛くないらしい。

その後、治療の説明を受けた。

直径3mm-5mmの細長い筒状のアプリケーターを『子宮内』に挿入する。
そしてそのアプリケーターがズレないよう、先端に団子のような物がついた器具をアプリケーターの両側、膣内に入れて固定するそうだ。

話を聞くだけで痛い…

ラルスについては病院に行く前にインターネットで調べており、麻酔を使い眠ってる内に治療してくれる施設もあるようだったので、
使って欲しいとお願いしたのだが…

この病院では麻酔は使っていない。

日帰りで麻酔を使うと危険。

という事で断られた。

私の癌が見つかる前に子供も癌であることがわかり

「痛いのは心だけで十分だ、少しでも楽にしてほしい」

そう言ったのだが、この病院では治療前の座薬(ボルタレン)と、器具を挿入する前にゼリー状の麻酔薬をつける事しかできないそうだった。

「ここで治療する人は皆、最後まで治療できているので大丈夫ですよ」

と言われたが、そういう問題ではない。

でも無いものは仕方がなく諦めるしかなかった。

治療回数は3回の予定。計18グレイ。
経過次第では追加でもう1回あるかもしれないとの事だったがせずに済んだ。
外照射の6週間目、全28回中21回が過ぎた頃から週1回行う。

CCRT スケジュール

 

子宮頸がん 放射線 体験談 子宮頸がん1B1期 放射線 ブログ

(外照射の記事にも載せてある、実際のカレンダー。ピンク色は長女の日程)

副作用は外照射と同じく、下痢や膀胱炎、それと肛門痛なんかもあるらしい。

治療後、将来にわたって下血や膀胱炎(血尿)を起こす可能性があり、稀に直腸や膀胱に潰瘍を起こして膀胱瘻や人工肛門の造設が必要になることもあるそうだ。

腔内照射終了後数ヶ月は、膣の癒着が起こらないように定期的に膣洗浄を行う。

「膣の内側がラップ同士がくっつくみたいに貼りつくので、それが固まってしまわないようにペリペリッと剥がすようなイメージです」

放射線科の先生が穏やかに話してくれたが、恐ろしいイメージだ。

とても痛そうに聞こえたが実際は何も感じなかった。

ラルス当日の流れ・前処置と治療中の痛み


初回は家から病院が遠い事(高速を使い片道1時間)、
行った事のない場所、
初めての治療のため、夫の両親の車で連れて行ってもらった。

まず外照射をしている病院の受付開始時間に滑り込み、ラミナリアを入れる処置をしてもらう。
ラミナリアを子宮口に入れると、体内の水分を吸収して膨らむのだが…

とても嫌な痛みがあった。

私は生理痛は毎回ほとんど軽かったほうで、だからなのか出産もきつかったし、妊婦健診や子宮がん検査等の痛みにも弱いと思う。

なので、このラミナリアがとても嫌いだった。

まず入れる時から痛い。なんだか子宮頸部に針を刺されているかのような感覚になる。

そして入れた後は苦手意識が強すぎるのか、必ず吐き気と冷や汗、下腹部痛に襲われる。
看護師さんにはロキソニンを勧められたが、ロキソニンが効いたと思ったことはない。

車中、夫の両親が連れて行ってくれてるのだから何か話さなきゃと思うが、ほとんど話せなかった。
車の振動さえ辛い。。

でもこれは精神的なものも強かったようで、2回目·3回目は痛いけど自分の運転で病院まで行くことができた。
先生からは治療が終わった後が心配だから、電車のほうがいいと言われたけど、私は周りを気にしなくて良い分、車が楽だった。

10時頃病院に着いて、予約時間の11:30まで待つ。
この時間も車で寝て待てるので楽だった。

12時過ぎに座薬(ボルタレン)を入れてもらう。

初回は13時頃からスタート。

まず下半身は靴下以外全て脱ぎ、治療用の股の部分が開いたズボンを履く。
(着ている服がワンピースだったので汚れる可能性があり、腰辺りで高さが出ないように折ってくれた。
邪魔にならない服のほうが良い。)

内診用の椅子とは全然違った、細めの平らなベッドに仰向けになり、足をかける器具が付いているので、そこへ足を乗せる。

(汚れないように?)足にビニールの靴下のような物を履かせてくれる。

それから先生が処置をする間、右側には看護師さん(女性)、左側には放射線技師さん(男性)が付いていてくれた。

まず尿道にバルーンカテーテルを入れる。
(動けないため尿を排出をしたり、治療中は水分を注入し膀胱に放射線を当たりにくくしたり、被害が出にくいようにするらしい)

ラミナリアを抜き、麻酔のゼリーをつける。
少し待ってから、アプリケーターを挿入する。

看護師さんが私の腕の辺りに手を置いて「息吐いてね」等、優しく指示をしてくれた。

辛い、苦しい、帰りたい。

でもまだ大丈夫だ、

想像していた程じゃない。

子宮までアプリケーターを通した後、残りの串に刺さった団子のような器具も入れるが、これも想像よりはマシだった。

しかし問題はこの後で、

ガーゼを詰める作業が「凄く痛い」というわけではないが…長い。
まだ寒い時期だが、コロナの影響で本来なら閉めるはずのドアが開いているのだろう。

治療前に看護師さんが
「(それほど広くない部屋に4人なので)密ですね。サーキュレーターで外に風の流れを作りましょう」
と言っていた…

そんな中で下半身裸のまま、消毒液に濡れたガーゼを15枚程…

1枚1枚入れていく。

ギュッ!ギュッ!と詰めていく度に、子宮に入った器具が揺れるようで辛い。

詰める時にガーゼを掴んでいるピンセットが当たったり、膣壁にガーゼが擦れて痛い…

何よりも…寒い!
体内からどんどん冷えていく…

やっと準備が済んだかと思ったら、次は先生が左足、看護師さんが右足、放射線技師さんが体を掴み、上げていた足を降ろすと同時に体を上方へ引き上げる。
ベッドの下の方で、両足を上げて寝ていた体勢が、一瞬で真っ直ぐ足を伸ばした状態になった。

病院によって違うと思うが、ここではMRI等は全て別の部屋だったため、今度は私の体の下に薄いプラスチック製の板のような物を入れて、3人がかりでストレッチャーに乗せ換えてくれた。

毛布をかけてくれ、動かないように言われる。膝を立てたり足を曲げてもダメで、動かしていいのは足首だけ。
器具が入っているので少し足を開いた状態でいなければならない。

MRIを撮る時もストレッチャーからベッドへ移動させてもらったり、全てされるがままだ。

必要な撮影を終えると、外照射と同じように先生が治療計画(私専用の設計図)に入るため、ストレッチャーに横になったまま、仰向けで2時間近く待つことになる。

まず足を半開きにしたまま動けないのが辛い。
器具の入っている痛みは感じないが、私は20歳過ぎでヘルニアと診断された事があり、仰向けだと辛いのだ。

でもそれ以上に…便意が襲ってくるのが1番大変だった。
トイレには行けない。
もし行くなら、きっと全ての器具を外すことになるだろう。
そんな事になるぐらいなら漏らした方がマシかもしれない。
下痢止めを飲んでいるのでなんとかギリギリ我慢できた。
もしかするとギリギリ漏らしていても、治療後の消毒で拭いてくれていただけかもしれないが…
とにかく度々襲う便意に肛門を締めて耐えるしかなかった。

ストローとペットボトルの飲み物、準備や治療中にかけて欲しいCDも持ってきていいと言われていた。

飲み物は横になったまま、看護師さんが飲ませてくれる。

「飲みたくなったらいつでも言って下さい。水分はとったほうがいいですよ。」

と言ってくれたが、あまり飲むとお腹が痛くなりそうで我慢した。

この2時間の待ち時間は携帯を触っていいので、1回目はCDを持って行かなかったのだが…
治療室内は絶対音楽を流すようで、その日流してくれていたのがオルゴールバージョンの昭和~平成初期のヒット曲(有線?)だった。

初回のガーゼを詰められている時に流れていたのが松田聖子の「抱いて」で、

オルゴールなので歌はないのに、歌詞を知っているために脳内再生され、

歌詞とは真逆にいる自分になんだかとても虚しく、悲しくなった。

嵐の夜にベッドで抱かれるどころか、膣にガーゼを目一杯詰められているのだから…

なんとも言えない気持ちになってしまった。

2回目はCDを用意したが音飛びして止まってしまい、3回目は用意しなかったが何が流れていたか記憶にない。

用意した曲が、趣味の違うであろう先生や看護師さんに共有されるのも、恥ずかしくて私を消極的にした。

ラルス開始

長い待ち時間も終わり、いよいよ腔内照射が開始。

看護師さんや先生、皆部屋から出て1人になる。

「何も感じないと思います」

と言われたが、機械が大きな音を立てると器具が震えているような気がしたり、よくわからないが圧迫感もあった。

治療は10分程で終了。

トータル4時間ほど…

ただただ便意と同じ姿勢に耐える時間だった。

終わってからがまた辛い。

詰めたガーゼを今度は一枚一枚出していくのである。

せっかく治療が終わったのに、また苦しさに耐える時間が続く。

器具を外せば全て終わることだけを考えて、気持ちを保つしかない。

終了後、ずっと寝た体勢だったので起き上がると違和感はあったが、治療のせいでどこかが痛いとか、辛いような事はなかった。

機械が全て外れると、心身ともに解放されスッキリした。

これが全部で3回。

追加で後1回あるかもと言われていたが、もうする必要がないと言われた時はほっとした。

2回目3回目のほうが内容を知っているだけに辛かったように思う。

ラルスは痛みと便意に耐える時間、これに尽きる。

麻酔ができるなら、絶対麻酔をおすすめします。

胃カメラなんかには麻酔があるのに、腔内照射に麻酔がないのは納得がいかない。

腔内照射の副作用


腔内照射をしてからひどくなったのが血尿である。

それまでは放射線(外照射) の影響でオレンジ色に近い濃い色の尿が出ていたが、腔内照射の2回目が終わると時々朱色になって、3回目を受ける時には小さな血の塊が尿に混ざるようになった。

ラルスの治療計画の時間が長いのと、放射線性膀胱炎でおしっこが近いため、時々尿を抜いてもらっていたが、看護師さんは驚くこともなく、

「あ~、血が混ざってますね。」

と言っていたので、よくある話なのかなと思う。

同じく尿道痛・排尿痛も、ラルスでよりダメージを受けるのでマシになることがない。

荒れた尿道に挿れるカテーテルは、一瞬だけど痛かった。

次に下痢。

外照射や抗がん剤で相当なダメージを受けているので、ラルスのせいかはわからないが、1日に何回もトイレに走る生活はずっと続いた。

排尿痛はあるが、同じように荒れていても排便に痛みが無くて良かったなと思う。

膀胱炎で処方された薬は頻尿用の薬「べオーバ錠」で、ほとんど効いた気がしなかったが、それに比べたらまだ下痢止めは効くのでマシなのかもしれない。

頻尿や排尿痛等の膀胱炎の症状は治療後1ヶ月で徐々に軽快した。

ただ下痢は回数が減るだけで治療後1年経ってもまだ続いていて、治る気がしない。

ラルスをする予定の方には、何の希望も与えられない内容になってしまって申し訳ないが、放射線治療は毎日大変でも必ず終わりが来る。

ラルスを入れたら放射線治療は30回を超えるので、最初は本当に途方に暮れた。
ただ通うだけでなく、副作用との戦いだ。

一体いつまで排尿する度、震えるほど痛いのか…
いつになれば治るのか、本当に治るのか…

突如襲う下痢…

ラルスへの恐怖…

1年経った今では受け入れられた(と思う)が、閉経してしまう悲しみ…

CCRTの1月半は本当に辛かった。

それでも乗り越えたお陰で、今は笑えている。

これから治療される方、今治療している方、頑張って最後まで駆け抜けて下さい。

今辛い症状も、治療が終わればかなり楽になります。

しかしながら、医療が進みガンが治る病気になったとは言え、1度ガンになってしまえば再発の恐怖は一生つきまとってくる。

そして治療には不安や苦痛が伴う。

私が伝えられるのは、治療や副作用のリアルだけだ。

このブログを読んで、子宮頸がんになりたくない!と思ってもらえたらと思う。

同じことの繰り返しになりますが、

HPVワクチンの接種と、子宮頸がん検査をしましょう!

ガンの中でも、子宮頸がんは防げるガンなのだから。

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