名前も聞いたことのない「小児慢性特定疾病」とは
結実に甲状腺がんと診断が出た後、小児科の主治医から
小児慢性特定疾病の医療費助成制度を教えてもらった。
本来、住んでいる都道府県内への通院なら、小児の医療費はそんなにかからないが、
結実が通っている病院は隣県だったため、自治体が発行している乳幼児医療証は使えなかった。
病院へ3割負担の医療費を支払った後、役所に申請すれば翌月には差額分が返ってくるが、一度は自己負担しなければならず…
生検のための1泊2日の入院で8万円程かかった。
個室にしたのもあるが、それを引いても6万円程…
乳幼児医療証が使えていればほとんどかからないのに、隣県なので3割負担。
そしてこれが戻ってくるのは翌月末(私が住んでいる地域の話)。
翌月には甲状腺の全摘出手術が控えていた。
もちろん高額療養費制度(限度額認定証)もあるけど、これからどれだけの医療費がかかるのだろう…
そう思っていたが、小児慢性特定疾病に該当する病気なので、申請すれば医療費が下がるらしい。
子どもの慢性疾患では、治療期間が長く、医療費負担が高額となることが多くあります。小児慢性特定疾病対策では、児童の健全育成を目的として、疾病の治療方法の確立と普及、患者家庭の医療費の負担軽減につながるよう、医療費の自己負担分を補助する医療費助成制度を運用しています。
(引用元)小児慢性特定疾病情報センター
小児慢性特定疾病医療費助成制度、その対象者、対象となる病気(疾病)は?
小児慢性特定疾病医療支援制度の対象となるのは、
- 慢性に経過する疾病であること
- 生命を長期に脅かす疾病であること
- 症状や治療が長期にわたって生活の質を低下させる疾病であること
- 長期にわたって高額な医療費の負担が続く疾病であること
(引用元)小児慢性特定疾病情報センター
となっています。
対象年齢は、18歳未満の児童。
ただし、18歳到達後も引き続き治療が必要と認められる場合には、20歳未満の者を含みます。
対象となる疾病は国が指定した16疾患群762疾病で、
疾患群は下記の16区分となり、更に詳細な762の疾病名があります。
【小児慢性特定疾病の例】
疾患群別の疾病の例 疾患群
疾病の例示
01悪性新生物
白血病、リンパ腫、中枢神経系腫瘍、固形腫瘍など
02慢性腎疾患
微小変化型ネフローゼ症候群、IgA腎症など
03慢性呼吸器疾患
慢性肺疾患、気道狭窄、気管支喘息など
04慢性心疾患
心室中隔欠損症、ファロー四徴症、肺動脈狭窄症など
05内分泌疾患
成長ホルモン分泌不全性低身長症、橋本病、バセドウ病など
06膠原病
若年性特発性関節炎、全身性エリテマトーデスなど
07糖尿病
1型糖尿病、2型糖尿病など
08先天性代謝異常
糖原病1.型、フェニルケトン尿症など
09血液疾患
血友病、血小板減少性紫斑病、再生不良性貧血など
10免疫疾患
後天性免疫不全症候群など
11神経・筋疾患
点頭てんかん(ウエスト症候群)、結節性硬化症など
12慢性消化器疾患
胆道閉鎖症、先天性胆道拡張症、アラジール症候群など
13染色体又は遺伝子に変化を伴う症候群
18トリソミー症候群、ダウン症候群、マルファン症候群など
14皮膚疾患
眼皮膚白皮症(先天性白皮症)、レックリングハウゼン病(神経線維腫症1.型)など
15骨系統疾患
胸郭不全症候群、骨硬化性疾患、進行性骨化性線維異形成症など 16脈管系疾患
巨大静脈奇形、巨大動静脈奇形、原発性リンパ浮腫など (引用元)埼玉県公式ホームページ
小児慢性特定疾病医療証を使ったら自己負担額は下がる?重症とは?
小児慢性特定疾病医療証を使ったときの自己負担上限額は、
※重症:①高額な医療費が長期的に継続する者(医療費総額が5万円/月(例えば医療保険の2割負担の場合、医療費の自己負担が1万円/月)を超える月が年間6回以上ある場合)、②現行の重症患者基準に適合するもの、のいずれかに該当。
(引用元)小児慢性特定疾病情報センター
収入によって支払い額が変わるが、結実は小児がんであることで治療が長期に渡ることからか「重症」の方に該当していたので、より窓口の支払い額が減った。
重症患者認定基準は…
1.費用が高額な治療を長期間にわたり継続しなければならない者として厚生労働大臣が定めるもの(厚生労働省告示第四百六十二号の一)
2.療養に係る負担が特に重い者として厚生労働大臣が定めるもの(厚生労働省告示第四百六十二号の二)
イ.小児慢性特定疾病児童等であって、次の表に掲げる部位等のいずれかについて、同表に掲げる症状の状態のうち、1つ以上が長期間(おおむね6か月以上)継続すると認められるもの
ロ.小児慢性特定疾病児童等であって、次の表に掲げる疾患群のいずれかについて、同表の治療状況等の状態にあると認められるもの
小児慢性特定疾病医療証はどこの病院で使える?対象となる病気の他の通院は?
一つの病気に対して、複数の病院にかかる事になっても、一月の上限が決まる。
例えば…
元々A病院に通っているが、B病院で手術することになった。
手術後のフォローはA病院で行う予定。
(A病院とB病院の両方に通っている事を、住んでいる都道府県に申請する必要がある。)
こんな場合…
ある月にA病院で上限に達したら、B病院での支払いは無い。
(処方箋薬局も含む)
都道府県毎で違うのかも知れないが、ノートの様な物に書き込んでくれて、「いつ」「どこで」「いくら」かかったか、がわかるようになっている。
登録した病気以外で申請している病院に行っても、風邪や怪我なんかはいつも通りの医療費がかかる。
(対象疾病が原因の場合は。小児慢性特定疾病医療証を使うことができる。)
小児慢性特定疾病医療証の申請方法
各都道府県で申請方法は異なると思いますが、私の住んでいる地域では、保健所に行き申請書類をもらい(インターネットからでもDLできるらしい)、
通院している病院(指定小児慢性特定疾病医療機関)に記入してもらって、保健所へ提出。(※有料、結実の病院では3000円程かかった)
この時に印鑑、市区町村税課税(非課税)証明書や、健康保険証のコピー等が必要になる。
保健所へ問い合わせると丁寧に教えてくれた。
保健所なんて行ったことがなく、最初は住んでいる地域の保健センターへ行ってしまい、職員の方を困らせた苦い記憶が…。
小児慢性特定疾病医療受給者証が届くまでどのくらいかかるのか。その間の医療費は?乳幼児医療証との併用は?
小児慢性特定疾病医療受給者証が届くまで3ヶ月程みていて欲しいと言われたが、申請から約2ヶ月で届いた。
その間に入院・手術もあったので、病院の方に申請中だと伝えると、受給者証が届いてから支払う形にしてくれた。
予定より早く届いたのだが、通院の度に会計で説明していたので、届くまでの期間がとても長く感じたし、いつ届くのか不安だった。
もし病院の方から3割負担で支払って欲しいと言われていたら、窓口で3割負担した後、小児慢性特定疾病医療受給者証が届いてから受給者証の管轄である都道府県へ差額の請求の申請をして、
それが入金されると役所へ差額の請求、となり手間だったので大変助かった。
小児慢性特定疾病医療受給者証と乳幼児医療証では、都道府県管轄の小児慢性特定疾病医療受給者証が優先適用になる。
障害者手帳や療育手帳のように、小児慢性特定疾病医療受給者証で受けられる割引サービスはある?
障害者手帳ほど広くはないが、国や都道府県管理の建物では、割引サービスがあったりもする。
ディズニーランドやUSJを始めとしたテーマパークでは、ほぼ対象に入っていないようだ。
その施設独自の判断で、障害者手帳と同様のサービスを受けられるところもあるようなので、行く前に調べたりはしている。
甲状腺全摘出で身体障害者手帳の対象にはならないのか
主治医には聞いていないが、自分で調べたところ、結実のように甲状腺を全摘出しても、障害者手帳等を持つことはできないようだ。
甲状腺の全摘出では対象とならないが、甲状腺がんで今後ほかの症状が出たりすれば対象になる可能性はある。
詳細に決まっていることなので仕方ないが、1つの臓器が無くなった事で一生薬を飲まなければならないのに…と、親としては辛い。
小児慢性特定疾病は小児が対象で、延長が認められても20歳まで。
もし今後結実のガンが寛解という状態になっても、甲状腺が無いため死ぬまで薬で補わなければならず、定期的な検査等、医療費の負担が問題になるだろう。
この先、薬さえ飲んでいれば健康なら、それでいいんだけど…
体に不調が出て、仕事が続けられなくなったり収入が不安定になっても、結実は通院し続けなければならないのだから、結実の将来のために必要な情報は持っておきたいと思っている。
いつ必要になるかわからないので、診断書や書類は保管していくつもりだ。